小売・飲食・事務からホテルへの転職を考えている方へ。前職の経験が活きるところ、活きないところ、給与と離職率の最新データをまとめました。
2025年に転職した20〜50代の正社員は、全体の7.6%でした。マイナビの転職動向調査によると、2016年以降で最も高かった2022年と並ぶ水準です。転職した人のうち、同じ業種・同じ職種のまま会社だけを変えた人は約5割。残りの約5割は、業種か職種、またはその両方を変えています。
環境を変えたいと思うこと自体は、ごく普通のことです。ただ、「ホテルに移る」となると、話は少し具体的になります。応募する前に、一度きちんと現実を見ておいてください。
入社して3か月目に気づくより、先にお伝えしたいと思います。
給与は低めです。国税庁の令和7年分「民間給与実態統計調査」では、全業種の平均給与は487万円でした。「宿泊業、飲食サービス業」は約276万円で、調査に載っている業種の中で最も低い水準です。割り引いて見るべき点が2つあります。この区分にはホテルだけでなく飲食店が含まれること。そして、パートタイムで働く人も含まれるため、平均が下がりやすいことです。それでも、統計の見え方だけでは説明しきれない差があります。
人の入れ替わりも多い業界です。厚生労働省の令和7(2025)年雇用動向調査(2026年8月31日公表)によると、宿泊業、飲食サービス業の一般労働者の離職率は21.5%。全産業の一般労働者は11.4%でした。こちらも飲食業を含む数字です。
人手不足は、以前ほど切迫していません。帝国データバンクの調査では、旅館・ホテルは、人手不足の割合が最も高い業種としてたびたび挙がっていました。2026年4月の調査で、非正社員が不足していると答えた旅館・ホテルは38.5%。30%台まで下がったのは4年2か月ぶりです。正社員については、2026年の旅館・ホテルだけの数字を確認できていないので、推測では書きません。それでも、「応募すれば誰でも歓迎される」という以前の印象は、もう当てはまりません。応募書類には、あなたなりの中身が必要です。
ここまで読んで「やめた方がいい」と言いたいわけではありません。働く先を慎重に選ぶこと、そして、この仕事について考えた跡を持って応募すること。その大切さをお伝えしたいのです。選び方はホテルの求人票の読み方で書いています。
たとえば、ラーメン店で6年、アパレルで4年、あるいはオフィスで営業事務を経験してきたとします。ホテルの採用担当者が職務経歴書を読むときに知りたいことは、どれも同じです。「同時にいくつも物事が動く中で、目の前のお客様をきちんと見られる人か」。
置き換えると、だいたい次のようになります。
ただ、これだけでは相手に響きません。ホテルの言葉で書いて、はじめて伝わります。比べてみてください。
店舗運営を担当。
繁忙日は1日約150名のお客様に対応。レジでの返品・クレーム対応から、閉店時の現金確認までを担当。
2行目は同じ仕事です。それでも、「忙しい中で接客をしてきた人だ」と採用担当者に伝わります。(例の数字は架空のものです。ご自身の数字を入れてください。)
生活リズム。ホテルの仕事には、早番、遅番、そして夜勤があります。いちばん忙しいのは、周りが休んでいる日、つまりゴールデンウィーク、お盆、年末年始です。平日の日勤からの転職なら、ここが最も大きな変化になります。最初の繁忙期に気づくより、今のうちに決めておく方がずっといいと思います。
新人であること。システムも暗黙のルールも、あなたよりずっとよく知っているチームの、いちばん下から始まることが多いでしょう。予約システム、業界用語、常連のお客様の好みは、働きながら覚えていくものです。
以前の立場。前の職場で責任ある立場にいた方も、しばらくは初心者に戻ります。
ここまで読んで、まだ気持ちが残っているなら、次の一歩は小さなものです。KankoHRでプロフィールを作り、前職を、上の例のようにわかりやすく書いてみてください。そのうえで、希望の部門とエリアで求人アラートを設定すれば、新しい求人が届きます。
やみくもに30件へ応募するより、よく考えた3件に応募することを、私たちはお勧めします。