厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査から、宿泊業、飲食サービス業の年齢別の月額賃金を全産業と比較しました。数字からわかること、わからないこと。
厚生労働省の令和7(2025)年賃金構造基本統計調査には、主な産業ごとの平均月額賃金が載っています。宿泊業、飲食サービス業は最も低く、277,200円でした。全産業は340,600円です。いちばん高かったのは、電気・ガス・熱供給・水道業の444,000円でした。
先に、この数字が何を表しているのかを確認しておきます。所定内給与額、つまり基本給と毎月決まって支払われる手当の合計で、残業代を含まず、税金を引く前の金額です。対象は、常用労働者10人以上の民営事業所で働く一般労働者です。短時間労働者(パートタイム)は別の区分で、ここには含まれていません。ほかの記事で紹介した国税庁の調査(年間約276万円)とは別のものです。国税庁の方は、パートタイムの人も含みます。パートを除いても、ホテルと飲食サービスは最下位のままです。
なお、この区分には飲食店やバーも含まれます。ホテルだけの数字ではありません。厚生労働省の主な集計表では、両者は分けられていません。
同じ調査を年齢別に見て、全産業と並べました。
| 年齢 | 宿泊業、飲食サービス業 | 全産業 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20〜24歳 | 224,600円 | 242,800円 | 18,200円 |
| 25〜29歳 | 250,500円 | 279,400円 | 28,900円 |
| 30〜34歳 | 270,000円 | 312,300円 | 42,300円 |
| 35〜39歳 | 286,400円 | 340,600円 | 54,200円 |
| 40〜44歳 | 302,300円 | 364,300円 | 62,000円 |
| 45〜49歳 | 327,300円 | 377,900円 | 50,600円 |
| 50〜54歳 | 312,700円 | 388,800円 | 76,100円 |
| 55〜59歳 | 304,800円 | 396,200円 | 91,400円 |
目に付くことが2つあります。
差は、最初は小さく、あとから広がります。20〜24歳では月18,200円。40代後半から50代では、ずっと大きくなります。
宿泊業、飲食サービス業の賃金は、45〜49歳の327,300円でピークになり、そのあと下がります。全産業の平均は50代後半まで上がり続けます。20代前半から40代後半までの上がり幅は、宿泊業、飲食サービス業が45.7%、全産業が55.6%でした。
これは、ある時点での年齢別の平均であって、あなた自身のキャリアを約束するものではありません。職種も勤め先も地域も違う人が混ざっていますし、今55歳の人が働き始めた頃の市場は、今22歳の人のものとは違います。
同じ調査は、雇用形態別の賃金も示しています。宿泊業、飲食サービス業では、正社員・正職員の平均は月303,800円。正社員・正職員以外は211,600円で、正社員の69.7%です。
差額は月92,200円です。これは、この業種と全産業平均との差(63,400円)より大きな額です。このデータでは、どの業種で働くかより、正社員の条件で働くかどうかの方が、金額への影響が大きいことになります。契約社員などで、正社員のポストが示されているなら、この比較は見ておく価値があります。
賞与。この月額には含まれていません。
通常の手当を超える残業代や夜勤手当。シフト勤務では、手取りのかなりの部分になることがあります。
寮や食事の提供。仕事に付いてくる場合の価値は、この数字には入っていません。
あなた自身のオファー。賃金は、仕事の内容、勤め先の規模、地域で変わります。主な集計表では、ホテルと飲食店は分かれていません。
また、入口の仕事のあと、どのルートがいちばん収入が高くなるかを示す業界のデータは、手元にありません。私たちの考えにすぎませんが、影響しやすいのは、正社員の条件で働くこと、営業・収益や管理の責任を持つ仕事に移ること(フロントの先へでルートを紹介しています)、そして勤め先そのものだと思います。
求人票を見るときは、基本給と手当を分けて探し、固定残業代が何時間分なのかを確認して、合計を上の表の年齢に当てはめて比べてください。詳しくはホテルの求人票の読み方で書いています。
KankoHRのプロフィールには、希望する給与を入力する欄があります。上の表は、上限としてではなく、現実との照らし合わせに使ってください。25〜29歳で、全産業平均の279,400円をはるかに上回る額を希望すれば、ホテルは気づきます。前職での経験があって、同じ年齢のホテルの水準を大きく超えるなら、その理由を書き添えて、金額はその根拠に続けて示してください。
この業種の1時間当たり賃金は、平均1,234円で、前年から3.7%上がりました。賃金は上がっています。ただし、調査対象の産業の中で最も低い水準からの上昇です。上の年齢別の表がこの形になる理由も、そこにあります。
出典: 厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」(2026年公表)。10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所の一般労働者。