採用担当者は何を見ているのか。3つの文で組み立てる志望動機の書き方、避けたい5つの出だし、書き直しの例を紹介します。
2025年、就職情報会社の学情は、20代を対象にキャリア採用を行っている338社に、何を見ているのかを尋ねました。書類選考での評価ポイントの上位2つは、「経験してきた業務内容」(76.2%)と「経験した職種・業種」(66.6%)。面接での評価ポイントの上位2つは、「コミュニケーション力」(78.8%)と「人柄・社風との相性」(65.0%)でした。
この調査はホテルに限ったものではなく、対象も20代のキャリア採用なので、ルールとして読まないでください。ただ、どちらの上位にも「志望動機」が入っていないことには、注目してください。志望動機は、これらの企業が最も重視すると答えたものではありません。
そうだとすると、書き方も変わります。志望動機が、それだけで採用を決めることはあまりありません。一方で、「手を抜いた」と見えてしまいやすい欄でもあります。だから目標は、うまく書くことではありません。具体的に書くことです。
厚生労働省は、日本規格協会が2020年に履歴書の様式例を削除したのを受けて、標準の履歴書様式例を公表しています。「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」という自由記入欄があり、性別欄は任意記載で、通勤時間や扶養家族数の欄はありません。様式そのものから採用担当者が得られる情報は、少なくなっています。その分、あなたが何を書くかの重みが増しています。
よくできた志望動機には、同じ3つの要素があります。1文ずつで構いません。
長さはまちまちですが、私たちの目安では、200〜400字です。具体的に書けて、最後まで読んでもらえる長さです。
「人と接することが好きです」。誰でもそうです。間違いではありませんが、情報が入っていません。
「おもてなしの心を発揮したいです」。同じことを、きれいな言葉で言っています。
ホテルのホームページにある一文の引用。採用担当者が書いたか、承認した文なので、気づかれます。
自分が学べることだけを書く。「成長したいです」は本心でしょうが、ホテル側は、自分たちが何を得られるのかも知りたいのです。
給与、休日、条件。聞くのは、あとの適切なタイミングで。ホテルの面接で触れています。
もう一つ。すべてのホテルに同じ文面を送らないこと。ホテルの名前を入れ替えるだけで成り立つなら、それはこのホテルについての文ではありません。
内部情報は要りません。見る場所を挙げます。
求人票そのもの。何が求められていて、それは仕事について何を語っているか。
ホテルの規模と形。60室で朝食レストランが1つあるのと、400室でレストランが3つあるのとでは、仕事が違います。
場所と、その地域で知られていること。
お客様。どんな人が泊まっているのか。
実際に訪れたなら、その体験。宿泊や食事は、読んだものより価値があります。
以下の2つは、違いを見せるために作った架空の例です。そのまま使わないでください。ご自身の経験で書いてください。
弱い例:
お客様と接することが好きで、世界中のお客様をお迎えするホテルで、おもてなしの心を活かしたいと思い志望しました。成長できるよう精一杯頑張ります。
より良い例:
駅ビルの衣料品店でレジ業務を6年間担当し、行列の対応とお客様のご相談を同時にこなす日が多くありました。その中で、お客様と数分以上向き合える仕事にやりがいを感じ、ホテルを志望しています。貴ホテルは客室60室で、フロントと朝食サービスを兼務する体制だと拝見し、自分の働き方に合うと考えました。行列の対応、クレーム対応、閉店作業の経験を活かして貢献します。
2つ目が巧みなわけではありません。仕事、理由、ホテルについての事実、そして今できることが入っています。必要なのは、それだけです。
上で書いたことはすべて当てはまります。加えて、何が活きるのかを書いてください。異業種からホテルへで整理しています。
KankoHRのプロフィールには、履歴書とカバーレターを保存できます。応募するたびに、その時点で送った内容のコピーが残ります。進め方としては、基本となる志望動機を1つ書いてプロフィールに入れ、応募ごとに、真ん中の1文、つまりそのホテルについての文だけを書き直すのがお勧めです。
そして、送ってください。どんな文章も、面接を保証してはくれません。下書きに眠ったままの完璧な文より、十分によい文を送る方が、結果は変わります。
出典: 学情の調査(20代を対象にしたキャリア採用を行う338社、2025年6月公表)。厚生労働省の履歴書様式例。