ホテルで働く人が知っておきたい基本のルール。休憩、休日、残業の上限と割増賃金、有給休暇、労働条件の明示。給与明細のチェックリスト付き。
シフト勤務は、ふつうのルールを見えにくくします。朝6時に始まり、昼にはロビーが人でいっぱいになる日には、きちんと休憩をとれたのか、今月の残業は上限の範囲内なのか、わからなくなりがちです。この記事では、厚生労働省が公表している基本を、1か所にまとめ、給与明細のチェックリストを付けました。
労働基準法などの一般的な情報で、あなた自身の契約についての助言ではありません。事業場の規模や契約の種類による特例など、細かい点は違うことがあります。当てはまらない場合は、総合労働相談コーナーに相談してください。
採用されるとき、事業主は、賃金や労働時間などの主な労働条件を、書面で明示しなければなりません。有期契約の場合は、2024年4月から、更新の上限(更新回数や通算期間)の有無と内容も明示する必要があり、更新のたびにあらためて示されます。その書面は保管し、不明な点があれば、働き始める前に聞いてください。
労働基準法は、1日の労働時間に応じて、最低限の休憩を定めています。6時間を超えて働くなら、少なくとも45分、8時間を超えるなら、少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。休憩は、仕事から解放されている時間であって、お客様を待つ時間ではありません。
長いシフトの途中で、自分に聞いてみてください。デスクから離れて、きちんと休憩をとれたか。待機を求められて離れられなかったなら、休憩に当たらない場合があります。
基本は、毎週少なくとも1日、または4週間で少なくとも4日の休日です。休日は、1日の休憩とは別のもので、ホテルでは、月ごとのシフト表で決めることが多くあります。
仕事を比べるときは、言葉ではなく、年間の休日数を数えましょう。ホテルの求人票の読み方で説明しています。
法定の時間を超える労働には、労使協定、いわゆる36協定を書面で結び、労働基準監督署に届け出ることが必要です。協定があっても、上限があります。
この上限は、大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から適用されています。
法定時間を超える残業は、通常の時給の25%以上の割増です。深夜(22時から5時)の労働も、25%以上の割増です。法定休日の労働は、35%以上。深夜の残業は、合わせて50%以上、法定休日の深夜労働は、60%以上になります。住宅手当、通勤手当、家族手当など、一部の手当は、割増賃金の計算の基礎から除かれます。例は、ホテルの求人票の読み方で説明しています。
有給休暇は、権利であって、好意ではありません。厚生労働省の2025年の調査では、宿泊業、飲食サービス業の労働者は、付与された15.9日のうち8.0日を取得していて、取得率は全産業で最も低い50.7%でした。大事なルールは2つあります。
1つ目。2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、事業主は、そのうち少なくとも5日を取得させなければなりません。自分から申請した日も、この5日に数えられます。
2つ目。もらえる日数は、勤続年数と出勤の状況によって決まります。これは標準的なルールで、細かい点は、ここでは説明していません。自分の日数がわからなければ、事業主に、書面で日数を示してもらってください。
賃金は、全額を、直接あなたに払うのが原則です。事業主が差し引けるのは、税金と社会保険料、または、労働組合か、労働者の過半数の代表者との書面による協定で定めた項目だけです。寮費や食事代は、そうした協定が必要な項目の例で、はっきり正当なものだけを控除できます。住まいについては、住み込みのリゾート・旅館の仕事で取り上げています。
2026年度の全国加重平均の最低賃金は、時給1,177円で、都道府県ごとの額は1,085円から1,280円、10月1日から12月2日までの間に発効します。基本給を時給に換算した額が、あなたの都道府県の最低賃金を下回ってはいけません。
これは、方法を示すための架空の例です。1日8時間、週5日の勤務予定で、ある週に、5日とも9.5時間働いたとします。合計47.5時間です。法定の上限は、1日8時間・週40時間なので、その週の残業は7.5時間です。ほかの3週間も同じなら、その月の残業は約30時間で、月45時間という通常の上限の範囲内です。給与明細に20時間と書いてあれば、残りの10時間はどこへいったのか、聞くことができます。あなたのパターンは違うでしょうが、計算の仕方は同じです。
ほとんどは適用されます。休憩、賃金の控除、最低賃金、割増賃金は、パート・有期の労働者にも適用されます。有給休暇も適用されますが、日数は、週に何日働くかによります。わからなければ、事業主に、書面で数字を示してもらってください。
手帳かスマホのメモで十分です。シフトごとに、日付、始業、終業、休憩、普段と違ったことを書きます。
| 日付 | 始業 | 終業 | 休憩 | メモ |
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月末に、時間を合計して、給与明細と比べます。
最初の給与明細で、次を確認しましょう。
合わない点があれば、上司か給与の担当者に、説明を求めましょう。納得できなければ、都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談できます。無料で、予約は不要、電話でも訪問でも受け付けます。夜間や休日に開いている、労働条件についての無料電話相談もあります。
落ち着いて、具体的に話してください。自分の記録と給与明細を並べて見せ、給与の担当者に、違いの理由を説明してもらいます。日付と、何を言われたかを書き留めておきましょう。直らない場合や、納得できない場合は、総合労働相談コーナーに、次にどうすればよいかを相談できます。何か行動を起こすと決める前にも、相談できます。
最初の1か月は、自分の勤務時間(始業、終業、休憩)の簡単な記録をつけてください。給与明細を確かめる、いちばん簡単な方法です。KankoHRでは、プロフィールを作り、希望を設定すれば、合うホテルから、招待が届くかもしれません。
出典: 厚生労働省の、休憩・休日・時間外労働の上限・割増賃金・有給休暇の取得義務・賃金の控除・2024年4月の労働条件明示の変更についての案内、2026年度の最低賃金に関する同省の発表。