住まいが付いてくる仕事は、一見シンプルです。住み込みで働く前に、家賃、規則、契約、退去について確認しておきたいことをまとめました。
旅館やリゾートの求人の中には、住まいが付いているものがあります。魅力は明らかです。慣れない土地でアパートを探す必要がなく、家賃の問題も、着く前に片付いているように見えます。
ただ、住まいは雇用の一部です。条件は、給与と同じように注意して見る価値があります。この記事は、住み込みの仕事が平均的にどんなものかを語ろうとはしません。どのくらい一般的なのか、いくらかかるのかについて、信頼できるデータが手元にないからです。数字を作ることもしません。代わりに、当てはまる決まりと、聞いておく価値のある質問をまとめます。
賃金からの控除。労働基準法では、賃金は全額を、直接、労働者に支払わなければなりません。厚生労働省の案内では、寮費や食事代は、事業主と、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との間の書面による協定がある場合にだけ、賃金から差し引くことができるものとして挙がっています。それでも、控除できるのは、はっきりと筋の通ったものに限られます。ですから、「家賃は給与から引かれるのか。その協定はどこにあるのか」と聞くことができます。
共同の寮か、社宅か。職場に附属し、多くの労働者が決まりのもとで共同生活をしている寮は、労働基準法でいう「寄宿舎」にあたることがあります。その場合は、寄宿舎規則を労働基準監督署に届け出るなど、独自の要件が加わります。一人ひとりが独立して暮らす会社所有のアパートは、一般にはそう扱われません。どちらを提示されているのかを知ることは大切です。守られ方が違うからです。
有期契約。季節の仕事の多くは有期契約です。2024年4月からは、契約の更新回数や通算期間に上限があるかどうかを、事業主が書面で示さなければなりません。更新のときにも、あらためて示す必要があります。また、無期契約への転換を申し込める権利が生じるときには、そのことと、転換後の条件を示さなければなりません。求人に「季節限定、更新あり」とあれば、上限はいくつなのかを聞いてください。
費用はいくらで、どう支払うのか。給与から引かれるのか、別に払うのか。
個室か、相部屋か。隣に住むのは誰か。同僚か。
何が含まれているか。光熱費、寝具、インターネット、洗濯。何が含まれていないか。
門限、来客、調理、騒音など、決まりはどうなっているか。どこに書かれているか。
シフトが変わったとき、病気になったとき、休職するとき、住まいはどうなるか。
仕事を辞める場合、退去までの猶予はどのくらいか。敷金のようなものはあるか。あるなら、いつ返されるか。
契約期間は。更新の上限はあるか。
最寄りの町が遠い場合、休みはどう取るのか。交通手段はあるか。
繁忙期はどんな様子で、勤務時間はどのくらい変わるか。
医師や診療所には、通える距離にあるか。
最寄りのスーパー、駅、病院は、どのくらい離れているか。バスはどのくらいの頻度で走っていて、最終は何時か。
携帯の電波とインターネットは、安定して使えるか。
家族や友人に会いに行きたいとき、休みは移動できるだけの長さがあるか。
職場に住むことには、わかりやすいトレードオフがあります。通勤と、家探しの手間が省ける。その一方で、仕事と、それ以外の生活の間の距離が小さくなります。それを素晴らしいと感じる人もいれば、疲れると感じる人もいます。できれば、受ける前に近くで1〜2泊してみるか、実際にそこで働いて暮らしている人に話を聞かせてもらってください。
何を聞いても、住まいの条件は書面でもらい、控えを持っておいてください。上の質問に対する答えが「場合によります」なら、何によるのかを聞いてください。
実際に住むことになるエリアで求人アラートを設定して、各社のページを見てください。ホテルの求人票の読み方も、あわせて読んでみてください。手当、固定残業代、試用期間についても書いています。住み込みの仕事でも、少なくとも同じくらい大切です。
出典: 厚生労働省・労働局の賃金控除に関する案内(労働基準法第24条)、労働局の寄宿舎規則に関する案内、2024年4月の労働条件明示の変更に関する厚生労働省の案内。